2014年11月19日水曜日

第6回 「参火会」11月例会 (通算370回) 2014年11月18日(火) 実施

「昭和史研究の集い」第4回目「日中全面戦争」昭和13~15年

「NHKの映像をもとにしたDVDの視聴」



(おもな内容)
近衛文麿政府が中国蒋介石政府との和平交渉を打ち切る「国民政府を相手にせず」(第一次近衛声明)、国家総動員法公布、日本軍徐州占領、火野葦平「麦と兵隊」、日本軍武漢三鎮を占領、日本軍広東占領、近衛首相「東亜新秩序建設」声明(第二次近衛声明)、張鼓峰で日ソ両軍衝突、満蒙国境ノモンハンで日本軍と外蒙軍と衝突し1個師団壊滅、満蒙開拓青少年義勇軍2500人の壮行会挙行、大内兵衛ら教授グループ検挙、発禁書物多数、警視庁盛り場の学生狩り、「強力日本建設」に向け初の興亜奉公日、木炭自動車出現、横綱双葉山69連勝でストップ、近衛内閣総辞職し平沼騏一郎内閣成立、独ソ不可侵条約成立し「欧州情勢は複雑怪奇」と平沼内閣総辞職、ドイツ陸・空軍ポーランド進撃により「第2次世界大戦」始まる、独軍マジノ線突破、仏パリ陥落、独軍900機ロンドンを空襲するものの壊滅(以後上陸諦め)、米内光政内閣成立、日本軍宣昌占領、日本軍重慶占領・ドロ沼化、第2次近衛内閣成立、日本軍北部仏印進駐、日独伊三国同盟調印、大政翼賛会発会式、全国一斉に防火大演習、「ぜいたくは敵だ」の立看板・東京のダンスホール閉鎖、紀元2600年記念式典挙行……など約42分

「この時代の概要」

2.26事件後、ますます発言権を強めた軍部は、陸・海軍の大拡張計画をスタートさせ、反対勢力を弾圧しながら、昭和12年の「盧溝橋事件」をきっかけに、中国全面戦争に突入しました。しかし中国との戦争は、当初軍部や政府がもくろんでいた早期に片づくものではなく、「国民政府」と「中国共産党」が内戦を休止し「抗日民族統一戦線」を結成させたことで、日中戦争は中国全土におよび、戦争は泥沼の長期戦となりました。戦争を引き起こした第一次近衛文麿内閣は、戦争の解決の見通しが立たなくなったことに嫌気をさして退陣、これに代わる平沼、阿部、米内内閣とも短命内閣に終わり、問題解決の糸口がみつかりません。この難局を突破しようとしたのが、第二次近衛内閣によるドイツ、イタリアとの提携強化でした。

当時ヒトラー率いるドイツは、オーストリア、チェコスロバキア併合後、昭和14年9月にはポーランドに進撃したことで「第2次世界大戦」を引きおこし、15年4月から5月にかけてデンマーク、ノルウェー、ベルギー、オランダを占領、6月にはパリを無血占領してフランスを支配下におくなど、破竹の進撃を続けていました。

近衛内閣は、ヒトラーの叫ぶ「ヨーロッパ新秩序」に呼応して「東亜新秩序」を表明。14年1月にヒトラーから提案された「日独伊三国同盟」締結に、最後まで反対し続けていた「海軍」も世の中の動きに屈服し、9月にイギリス・アメリカと敵対を決定づける「日独伊三国同盟調印」となったのでした。

DVD視聴後、なぜ、「日独伊三国同盟」が結ばれたかを中心に、話し合いがもたれました。

とくに、近衛内閣の外相を務めた松岡洋右(ようすけ)の存在が話題になり、松岡がアメリカのミッションスクールで教育を受けたことで、流暢な英語を話すこと。しかし、黄色人種として迫害に近い仕打ちを受けたことがトラウマになり、強硬な反米派になったこと、唯我独尊、反対意見を聞かない自信家のため、海軍が「何十回シュミレーションしても対アメリカ戦争には勝てない」と主張しても、聞く耳を持たなかったこと。さらに遡って昭和8年、リットン調査により「国際連盟」総会で「日本は満州から撤退」勧告案が42対1(反対日本のみ)で決議された際、日本全権主席だった松岡は「連盟と協力しようとする努力の限界に達した」と英語で演説し、席にもどることなく、代表団を率いて議場を退場(正式には3日後に通告)したことで、国際的孤立を深めた……といったような意見が出されました。

また、「三国同盟」の調印の少し前に、「イギリスよ、日本のいうことを聞け」という趣旨の「新聞の共同声明」がなされたこと。朝日・東京日日(毎日)・読売・同盟通信・報知。都・国民新聞など日本を代表する報道機関の姿勢が問題視されました。

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その後、メンバーで「週刊読書人」社長の植田氏に、最近本紙とは別に、タブロイド版の『PONTO(ぽんと)』を発刊したことで、その刊行意図やねらいをお聞きしました。第1号のテーマは「日本の性(さが)・性(せい)」で、最近注目されている「葬送の自由をすすめる会」会長へのインタビュー、「秘宝館のマリリンモンロー」、鼎談「女子が読む官能的書物」など硬軟いりまじった斬新な企画に、多くメンバーが賛同しました。近く「季刊」となるようで、今後に注目したいと思います。



「参加者」(五十音順・敬称略)

  • 植田康夫
  • 郡山千里
  • 小林宏之
  • 酒井義夫
  • 菅原勉
  • 竹内光
  • 鴇澤武彦
  • 山本明夫